Lamborghini LM002 ランボルギーニ LM002

Lamborghini ランボルギーニ
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2018年にランボルギーニは、
独自にSSUV (スーパースポーツ・ユーティリティ・ヴィークル) と位置付けて、
世界最速のSUV『ウルス』を市販し、
今でこそ高性能ラグジュアリーSUVのマーケットが確立されていますが、
世界で初めてこのジャンルの車を世に送り出したのはランボルギーニです。

スーパーカーメーカーがSUVを作るのは、
いまでこそ意外ではなくなっていますが、
当時このような車が生まれた背景には興味深い事情がありました。

1978年に経営危機から倒産したランボルギーニは、
フランスの実業家パトリック・ミムランに買収される1981年まで、
イタリア政府管理下で運営されていました。

そういった事情もあって恐らくこの時期には今までのような、
開発資金をきちんと回収できるような、
販売台数が見込めるスーパーカーの製造ではなく、
自動車メーカとして、
受注できれば短期間でコンスタントに利益を見込める事業性が
明確なプロジェクトが求められていたのではないかと思います。

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米軍軍用車はランボルギーニ製になっていたかもしれない。

LM002の起源をたどれば、
アメリカのMTI(モビリティ・テクノロジー・インターナショナル)が、
HMMWV(高機動多用途装輪車両)をランボルギーニと共同開発で製作し、
米軍に売り込もうという計画がはじまりです。

当時、米軍はジャングルでの戦闘に最適化されたジープに代わって、
砂漠で使用する新型軍用車を求めており、
複数の企業が受注のために車両開発を競っていました。
結局、米軍に採用されたのはAMゼネラルのHAMVEE (ハンヴィー) だったわけですが…。

まず1977年のジュネーブショーで、
MTI社長のロドニー・ファリス (Rodney Pharis) 氏のデザインの、
クライスラー製5.9ℓ V8エンジンを横置きリアミッドシップに搭載した、
全地形対応車のプロトタイプ「チーター」が発表されました。

This and many more photos of Lamborghinis are available on www. LamboCARS.com

これが米軍に採用されなかったことから、
今度はこれをベースに民間向けのクロスカントリー4WDを作ろうと考えます。

チーターにクライスラー製のユニットから、
AMC (American Motors Corporation) 社製5.9ℓ V8エンジンに載せ替え、
チーターでは簡素だったキャビンを作るなどして、
民生用にモディファイしたプロトタイプ、
「LM001」が1981年のジュネーヴショーで、
2シーターミッドシップスポーツカーの、
ランボルギーニ ジャルパ (Jalpa) と共に発表されました。

 
Pubblico dominio La Lamborghini LM001 del 1981, dotata di motore V8 5,9 litri della American Motors Corporation, rimasta allo stadio di prototipo.

翌1982年、
ランボルギーニ製 V型12気筒エンジンを、
リアに横置き搭載したプロトタイプ「LM002」と、
LM001にカウンタックのV12エンジンを積み換え、
フロントにエンジンを搭載した「LMA」の2台が発表されました。

ランボルギーニLM002
ランボルギーニ製 V型12気筒エンジンをリアに横置き搭載したプロトタイプLMA002

※「LM002」は量産車と同名ですがリアエンジンプロトタイプです。
一般向けに量産する上ではリアエンジンであることで特に加速時におけるハンドリング特性に問題があったことから、
エンジン搭載位置をフロントに変更することで安定性を重視したものとなっています。
LMA002(’A’ はイタリア語で ‘anteriore (前部)’を意味します)

1986年のブリュッセル・モーターショーで、
ついにLM002が発表され、
同年に市販が開始されました。

「LM002」というネーミングは、
”ランボルギーニ”の頭文字の L と、
”ミリタリア” の M に由来します。

1993年に生産終了されるまでの総生産台数は328台で、
車体各部はスペインのビルバオ近く生産、半分組立された部品が、
イタリア本社に送られて
パワートレイン、機械部品に組付けされたち、
仕上げ、検査を経て出荷されました。

乗車定員は4+2で、
キャビン内の独立シートに4名、
ボディ後部にエクストラで2名乗れる荷台となっています。
車両総重量は 2.7t あり、
燃料タンクは290ℓ の大容量タンクを備えています。

フルタイム4WDですが燃費向上のために後輪駆動にすることも可能です。
4WDシステムはハイとローの副変速機を持つパートタイム式で、
センター、フロント、リアの各デフすべてに、
リミテッド・スリップ・デフが備わっています。

構造は鋼管スペースフレーム、
ボディはFRP製アウターパネル、アルミ製ドアで構成されています。
インテリアにはシートやトリムの部分に本皮革がふんだんに使用されるほか、
インパネ、メーターパネル、センターコンソールの一部に、
木目調パネルが用いられています。

全長 4,795mm ホイールベース 2,950mm
全幅 2,000mm
全高 1,850mm

最高出力:331kW(450ps)/ 6,800rpm
最大トルク51.0kgm/4,500rpm
トランスミッション:5速MT 駆動方式:4WD
車両重量:2700kg
0-100km/h加速は7.8秒 最高速210km/h
120%の傾斜を登ることができます。

タイヤはパンクしても走行可能な、
前後同サイズのピレリ製の専用品「スコルピオ 325/65VR17」です。

カウンタックのエンジン

1986年に製造を開始した市販車には、
カウンタック 5000QV クアトロバルボーレと同じ、
5.2ℓ (5,167cc) 60度V型12気筒DOHC
48バルブ クアトロバルボーレ(1気筒4バルブ)エンジンを、
仕様変更したものが使用されています。

エンジンの仕様変更はオフロード走行に最適化されていて、
質の悪いガソリンしか手に入らない地域での使用も考慮に入れたものとなっており、
砂漠などの悪環境も考慮したエアクリーナーや、
酷暑地域も考慮した大型ラジエーターなどを備えています。

フロントボンネットの立体的な造形が力強さを演出します。
中央が大きく盛り上がっているのは、
ダウンドラフト型のキャブレターの突起の逃がしです。

インテリアは明るい色調の本革で上品な仕立てになっています。
このインテリアも品があって良いですね。

高級SUVのパイオニア

今もなおLM002を異質で孤高な存在にしているのが、
歴史あるブランドがスーパーカーのパワーユニットを用いて、
豪華な高性能オフローダーを作ったという点であり、

これはランドローバーとも異なり、
流行りのファッション的なアーバンSUVとも異なるものです。
今振り返ればハイパワープレミアムSUVの先駆者的存在として、
後付け的な意味を持ち始めたものの、

あくまでも
はじめから「高性能ラグジュアリーSUV」というコンセプトがあったわけではなく、
そのはじまりは政府の管理下にあって、
自動車メーカーとしての採算性を求めた結果、
その出自としては企業の存続の過程で生まれた迷走の産物に他なりません。

結果的には軍用に開発された車両を量産市販車にするにあたって、
無骨なエクステリアとは対照的な豪華なインテリアを持つこととなり、
商品開発上、設定されたペルソナが産油国の王族という、
極めてニッチなキャラクターの車となった点が非常に面白いと思います。

さらにはこの奇妙な車が時を超えて、
ハイエンドのスーパーカーメーカーが、
商業的な側面からSUVを作るということへの免罪符になりえるとは…、
予測もできない顛末ではないでしょうか?

画像は2012年に北イタリアのボローニャ県
サンターガタ・ボロニェーゼにあるランボルギーニ博物館、
LAMBORGHINI MUSEUM(Shuttle Museo Lamborghini)訪問時に撮影したものです。
この時展示されていた車両がどのような車だったのか分からないのですが、

今現在ミュージアムに展示されている車両については、
1990年に製造されて、
2016年に「ランボルギーニ・ポロストリコ」によってレストア作業が開始され、
2017年に完全復元された、
同じく黒の LM002(シャシーナンバー12231)で、

当時、モンテカルロ在住の最初のオーナーが発注し、
フランス ニースのディーラー「メディテラニア」に出荷された後、
ランボルギーニに買い戻されたものだそうです。

Polo Storico Lamborghini ランボルギーニ・ポロストリコ

生産終了後10年以上経過したモデル(ランボルギーニ350GT~ディアブロまで)の、
レストアと認定に特化した専門レストア部門で、
文書、記録の保管および純正スペアパーツの供給も担当しています。

Polo Storico Lamborghini
Via Modena, 12
40019 Sant’Agata Bolognese (Bo) – Italy
電話番号: +39 051 2156282

LMシリーズのプロトタイプ

LMシリーズのプロトタイプはチータから始まり、
量産されたLM002以外に、
かなり多くのプロトタイプやレース仕様車が作られました。

LM 001、LMA、LM 002、LM 002 ラリーカー、LM  003、LM 004
そしてインドネシアのメガテック傘下になって再度検討され、
モックアップのみで終わったザガートのLM003 通称:Borneo/Galileo (1997)

ランボルギーニ チーター Cheetah (LM001)

チューブラーフレームに4輪独立のサスペンションという構成で、
リア・ミッドシップに横置き搭載された
アメリカン・モーターズ(AMC)製5.9ℓ (5898cc) V型8気筒OHCエンジンに、
トランスミッションに3速ATを組み合わせて4輪を駆動する
トミカにもなった車です。

最高出力:134kW(183ps)/4000rpm
車両重量:2042kg 最高速度:167km/h

LM001

見た目からしてリアヘビーなリアエンジンのLM001
砂漠での迷彩カラーでいかにも軍用車ないでたちのLM001

チーターを民生用にモディファイ (フロントエンジン化) したプロトタイプで、
1981年のジュネーブショーでジャルパ (Jalpa) と共に発表されました。
AMC (American Motors Corporation) 社製5.9ℓ V8エンジンを搭載しています。

全長:4,790㎜ (ホイールベース:2,950) 全幅:2,000㎜ 全高:1,790㎜
車両重量:2,100kg

LMA

1982年にリアエンジンの「LM002」と共に発表されました。
LMAはLM001に、
カウンタックの4.8ℓ (4,754cc) V型12気筒エンジン (最高出力332ps) を、
フロントに縦置きで搭載したもので、
フロントエンジン化に伴ってチータでエンジンが搭載されていた部分は、
簡易座席を備えるラゲッジスペースとなっています。

LM002

1982年にフロントエンジンの「LMA」と共に発表されました。
ランボルギーニ製 V型12気筒をリアに横置き搭載しています。

※ のちに市販される「LM002」と同名のリアエンジンプロトタイプです。

LM003

フォルクスワーゲン製の、
3.6ℓ (3,590cc) ディーゼルターボエンジン 112 kW (150 ps) が搭載されていました。

LM004

バケットシート、電話、冷蔵庫、その他豪華装備を備え、
313 kW (420ps) を発揮する、
マリーニ・ランボルギーニ製のパワーボート・オフショアクラス用の、
L804型7.3ℓ V12エンジンが搭載されていました。
5.2ℓ と比較してエンジン自体の重量増加もあり、
期待していたほどのパワーを発揮せずに1台のみが試作されたのみとなっており、
その試作車も現存しません。

バリエーション

LM002 エステート

通称:LM002 ブルネイ

Lamborghini LM002 Brunei 1989 ランボルギーニ LM002 ブルネイ Front Quarter
Detectandpreserve Lamborghini LM002 Brunei 1989 frontleft 2009-03-14 U CC-BY-SA-3.0
Lamborghini LM002 Brunei 1989 ランボルギーニ LM002 ブルネイ Rear Quarter
Detectandpreserve Lamborghini LM002 Brunei 1989 backleft 2009-03-14 U CC-BY-SA-3.0
Lamborghini LM002 Brunei 1989 ランボルギーニ LM002 ブルネイ Side
Detectandpreserve Lamborghini LM002 Brunei 1989 side 2009-03-14 A CC-BY-SA-3.0

1989年にワンオフで特注されて納められた特装車です。
東南アジアのイスラム教国で南シナ海に面したボルネオ島にある小さな国、
ブルネイ・ダルサラーム国の国王、
ハサナル・ボルキアはカーコレクターとして有名なのですが、
この国王の約5000台のコレクションに加えられています。

リヤ・オーバーハングを延長してスペースを拡大しており定員は7名、
ハイルーフを備えた特装ボディはトリノのボディショップで架装されたもので、
当初は白に塗装された後、
ライト・グリーンに塗り替え、
最終的にはシルバーに塗装されました。

LM002 アメリカーナ

通称:LM002 アメリカン

1992年の NAIAS:North American International Auto Show (北米国際オートショー) で、
最終仕様モデルとして発表、
60台限定で発売されたモデルで。

アメリカの排出ガス規制に対応させた、
ディアブロとほぼ同じ、
電子式燃料噴射装置を備えたエンジンが搭載されてあり、
最高出力492ps

エクステリアでは、
専用ボンネット、バンパー、デカール、OZ製ホイールで判別できます。

パリダカールラリー仕様車

LM002 エヴォリツォーネ(1988年)

別名:LM002 パリダカール

パリダカ制覇を目指して開発された、
LM002をベースとする600馬力のラリー仕様のレーシングマシンが2台存在し、
プライベーターのマシンが実際に出場しています。

1987年の出場を予定してランボルギーニファクトリーチームが制作した、
ボンネットが黒で白いボディの車両(参戦見送り)

1988年にスイスのレーシングチームが製作した赤い車両がパリダカに出場し10位で完走しています。

LM002関連のトリビア

LM002は2009年公開の映画、
Fast&Furious 4(ワイルド・スピード MAX)に登場していました。

LM002が展示されているミュージアム

栃木県那須郡にあるミュージアムが、
F.M.C. XR311(T-004)とFMX XR311(T-002)を所蔵しています。
スーパーカー・軍用車・カーミュージアムレストラン 那須PSガレージ
※ 展示されているかどうかは事前にご確認ください。

ロシアのソチの自動車博物館に赤い個体が展示されています。
ソチ・アフト・スポルト・ムゼイ Сочи Авто Спорт Музей

   

   

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